卒業生メッセージ

中塚 星来さん

東京大学 大学院 新領域創成科学研究科(2022年現在)

文系から理系へ進路変更。
東京大学 大学院で活躍する彼女を支えた「ある言葉」。

振り返ると、一生分の青春が詰まった6年間だったように思います。中学生、高校生の間って、いま思うと小さなことでも、それが世界のすべてのように思えて、悩んだり迷ったりすることもたくさんありました。特に進路のことは、すごく悩みました。

 

当時、文系のクラスに在籍しながら、小さなころから大好きだった生物の研究への憧れが捨てきれずにいました。文系から理系に進路を変えるのは、とても大変なこと。それを知っているからこそ、どうすればいいか自分でもわからず、担任の先生に悩みを打ち明けました。すると校長先生や他の教科の先生も集まって「どうするべきか」を一緒になって考えてくれました。本当に親身になって考えていただいているからこそ「今からじゃ難しいかもしれない」と厳しい言葉もいただきました。先生方のお話を聞きながら考えを整理していたとき、「中塚さんが本当にやりたいことはなんだろう」という言葉をもらいました。「理系に進みたいならそうしよう。大丈夫、だって中塚さん、数学得意でしょ?」。先生は笑いながら背中を押してくれました。

 

それからは吹っ切れたように猛勉強を重ね、特別補講などの支えもいただきながら、なんとか東京工業大学に合格。いまは東京大学の大学院に進学し、植物細胞の研究に明け暮れています。植物はある条件で切り出すと、切り出した先から自らの姿を再生していきます。研究の目標は、その再生を起こす細胞の特定。いずれは再生医療などに貢献できる可能性を秘めた研究です。

 

自分の好きなことを好きなだけ追求する。この充実した毎日は、あのとき、先生が私を信じてくれたから実現しました。誰だって、迷うのは当然のこと。だからこそ、そばに応援してくれる人がいる。信じてくれる人がいる。それが、どれだけ力になるか。身を持って体感しました。卒業後の進路は、いまはまだ決まっていません。だけど「人の支えになる仕事」ということだけは、心に決めています。そして先生たちのように、誰かの背中をやさしく支えてあげられる人になりたいと思っています。