高3 化学 実験ウィーク
2023.12.19
鎌女生活最後の定期試験を終え、心なしか安心したような表情の生徒たちです。
高校3年生の化学の試験後の授業では、例年、「実験ウィーク」として、様々な実験を行います。実験を通して、溶液の調製方法や実験操作についても体感的な理解を深めていきます。大学入試では、実験操作や反応中の溶液の様子に関する出題も多く、学習してきた知識と実験で目にできる様子を結び付けられるこの時期に、様々な実験を行うことが大切だと考えています。今年は、中和滴定、2種類の医薬品の合成、銀鏡反応、染料の合成、陽イオンの性質の確認という5つの実験を行いました。
こちらは中和滴定の様子です。ビュレットというコックと目盛りのついた長いガラス管から水酸化ナトリウム水溶液を、下のビーカーに入っている食酢の中に滴下させ、中和反応を起こします。反応の終了を示す指示薬の色の変化に気を付けつつ、1滴1滴慎重に滴下し、食酢の濃度を求める実験です。今年の生徒は慎重派が多いのか、「滴下しすぎの失敗」はほとんどありませんでした。
医薬品の合成では、湿布薬に使われる「サロメチール」と頭痛薬として使われる「アスピリン」の2種類を合成しました。この実験では、ガスバーナーで溶液を加熱するのですが、これが鎌女生活最後のガスバーナーです。加熱が進むにつれ、実験室に「湿布のにおい」がただよいはじめ、生徒からも歓声が上がりました。
染料の合成は、「氷冷下」で行います。教科書では「氷冷下で反応させる」と一言で表現されていますが、実際の操作方法も体感的に確認することができました。
無色の溶液を脱脂綿にかけた瞬間に、鮮やかな橙色に染まり、大きな歓声が上がりました。無事に染料の合成に成功です。化合物の反応が瞬時に起き、構造の違いで色が大きく変化することも化学の面白さのひとつです。
無機化学の学習内容の「陽イオンの性質の確認」では、陽イオンに固有の呈色反応や沈殿生成反応を行いました。教科書の写真で何度も確認していた反応も、実際に目の前で見られると、感動とともに記憶にも残りやすくなります。
実験ウィークでは、それぞれの実験で用いる溶液の調整も、生徒自身の手で行いました。その器具を使う理由や薬品の性質などの確認にもつながります。高校3年生ともなると、なかなかグループワークをすることも減ってきますが、久しぶりの実験だけでなく、友達との共同作業そのものを楽しんでいる様子でした。座学とは違った生徒の様子や表情もたくさん見ることができました。
1月以降、高校3年生とは授業で会えなくなりますが、それぞれの目標が達成されるように応援したいと思います。 (化学担当より)